くら寿司について思うこと

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近所のくら寿司に行った。くら寿司に行く度に、その数々の工夫にぐったりとやられる。これほど客層を絞って、そこに向かって全力マーケティングしてる会社もないのではないかと思う。
その客層とはもちろん子供連れのファミリーで、「無添」の「人工甘味料なし」「化学調味料なし」的なメッセージは全てその母親に向けられている。「子供に有害な物を食べさせられないが、くら寿司だったら安心ネ」と思わせるための大事なメッセージだ。
タッチパネルでの注文はこの手のデフレ寿司では定番となった感があるが、くら寿司ではiPad化。以前のものより遙かにユーザビリティに優れていて、かつ、大量導入した時のハードウエアのコストも安そうである。ホームボタンは針のようなものを挿入しないと押せないようにガードされている。
回転レーンの上には、カプセル状の中に皿が入って回っている。皿を取り出そうとするとカプセルがパカっと開く仕掛けであるが、ここで関心したのは、間違えてカプセルごと持って行こうとする人対策として、カプセルはかならず2個一組になって連なってるところ。これだと「2つもいらんわ」となって、その場で「取るのは皿だけなのだな」と気づく。これは優れたインターフェイスだ。
くら寿司では皿の裏にあるQRコード(今はICチップ埋め込み)で時間管理し、古くなった皿を自動でどんどん捨てていく仕組みがあるのだが、カプセル導入によってその時間が延びたことは賛否両論あったようだ。
肝心の寿司の味はというと、他のデフレ系寿司同様にシャリが甘い。寿司の味など分からない子供にとっては「甘い」「脂身」の二つさえ満たしていれば80点はあるので、まずシャリの甘さは必要だ。
そしてわさび抜き。わさびが欲しい大人は手元のわさびをセルフで挿入する作業が必要となる。わさびを嫌がる子供のための施策だ。
そしてメニュー。子供が喜ぶ「脂身」系が充実している。寿司で脂身と言えば高級な大トロかサーモンだが、本格的な大トロは105円では提供できないのかここには無く、サーモンのバリエーションが異様に多い。サーモン系だけで10種類以上ある。サーモンの上に焼きチーズとかそういうものも。
あとはハンバーグ、焼き豚などの肉系寿司。焼き豚の上にガーリック、焼き豚の上にとろけるチーズ、といったメニューが充実している。
「上は脂」「下は甘いシャリ」「それらを食べた皿をシュートすればびっくらポン」この3つがくら寿司を構成する三大要素である。
いくら「無添」をうたっても、子供は脂っぽいネタ、マヨネーズとかチーズが乗ったやつ、肉系の寿司ばかり食べるだろう。親がシビアに健康を考えても子供はそうはいかない。そう、全てはくら寿司の思うつぼなのだ。