ついこの前も、日本のファミレスの雄「すかいらーく」を200店舗閉鎖するだとか、デニーズを130店舗閉店するだとかの物騒なニュースが流れた。何がそんなに不人気なのか? この問題は考えれば考えるほど深くて泥沼にはまるため、暇つぶしにはもってこいである。
ファミレスの全盛期っていつ頃だろう。「すかいらーく」の最盛期は、全国に730店舗あったのだという。今の「松屋」が600店舗なので、それより「すかいらーく」の方が多かったのだ。時期にして80年代末から90年代初頭くらいだろうか。
それが今になってどう変わってしまったか?
人々は、外食しなくなったのか。否、そんなことはない。
外食をしても、洋食を食べなくなったのか。否、そんなことはない。
すかいらーくのような大型店は車で行く場合が多いが、車が減ったのか。否、そんなことはない。
すかいらーくは、まずいのか。否、そんなことはない。
すかいらーくは、高いのか。否、そんなことはない。
すかいらーくは、店員の態度が悪いのか。否、そんなことはない。
ではなぜだ?
そもそもファミレスとは何だ。どういう所だ。
ファミリーレストランは、家族連れに対応した業態ともされ、その料理の幅は老若男女に添ったものが提供され、また多くの客に同時進行で食事が供されるよう、広い店内が特徴的である。料理の価格帯は概ね大衆的で、質と量共に低価格で満腹感が得られる傾向が強い。ちなみに明確な定義は存在せず、例えばマーケティング調査会社の富士経済によれば、以下のような定義が存在する。
* 客単価=500~2,000円
* 注文から料理提供までの時間=3分以上(これより短い場合はファストフード)
* 座席数が80席以上
とのことだ。つまり、ヒエラルキー的には低い順から
ファーストフード
↓
ファミリーレストラン
↓
カジュアルレストラン
↓
高級レストラン
の順である。それぞれ客単価が違う。
この中でファミリーレストランはその名前の通り、家族で行くことを想定している。
しかし、90年代中頃より、家族でファミレスに行くという行為が減ってきているのではないかと思う。オリジン弁当なんかの中食(料理をする手間を省くための手段、イベント要素無し)の普及、ちょっとリッチな気分になるカジュアルレストラン(イベント要素あり)の普及などが進み、家族でファミレスに行くという行為に伴うイベント要素が減ってきているのだ。
そうやって環境が変化していることに、これまで築き上げたファミレス各店舗のイメージやブランディングの変化が追いついていないのである。
今、デニーズに家族で行くということに対して、誰がイベントだと思うだろうか。ガストに対して持ってるイメージはどんなものか。ガストもデニーズも、味は悪くないとしてだがな。
外食は、「面倒くさい、時間の無い人のため」のファーストフードや吉野屋・すき家・大戸屋・オリジン弁当のような存在となるか、イベント的要素のあるちょっと高級指向の店舗になるか、二極化が進んでいるのではないか。前者は「一人で入れる店」というメッセージが必須だし、後者は「大切な日に行く場所」なので「工場で大量に作ってコスト削減」のようなイメージを持たれてはならない。
そう考えると「すかいらーく」や「デニーズ」という店はどっち付かずであると言える。一人で行けないし、家族ででも行かないのだ。
このタイミングで値下げを行った「デニーズ」の戦略は大ハズレなのではないのか。
メニューが洋食か和食かなんて関係が無い。店内もある程度綺麗で値段もそこそこだったらそれでいい。「一人で行っても平気な店」という明確なメッセージを持つ「大戸屋」は大成功している。
駅前に欲しい店アンケートだと、「大戸屋」って入ってくるもんなあ。
ファミレスに一人でズカズカ入る俺から見ると、そもそも一人でファミレスに入れない奴は何なんだと思うが、そういうものなのだろう。大戸屋には入れても、ガストには入れない。この差は何だろう? Sガストには入れても、ガストには入れない。その意識はどこから来るのか分からないが、それが消費者の意識だから仕方がない。
これからも家族は「すかいらーく」や「デニーズ」に行くことをイベントだと思わないだろう。「すかいらーくガーデンズ」になっても「ジョナサンズキッチン」になってもそれは変わらない気がする。なかなか厳しいな。








