よい麻婆豆腐の条件

生まれてから35年。ずっと麻婆豆腐が横にいた。

「美味い麻婆豆腐」とはどんなものか。なかなか理想とする麻婆豆腐にはたどり着けない。カレーやラーメンほどではないが、麻婆豆腐のパラメーターは多い。

豆腐の質(絹か木綿か)、大きさ、量に始まって、挽肉の味、大きさ、量、色、スパイスのバランス、その他具材。全てが良い感じにまとまった麻婆豆腐を出す店は、まだ数軒しか出会えていない。
本格派麻婆豆腐!などと銘打ったお店に行ってみると、ただ山椒が濃くてヒリヒリするだけで、麻婆豆腐に顕在するレアなグルーヴ感が足りない。ギターの音を歪ませれば歪ませるほどロックになるというものではないのと同じだ。
辛ければ良いというものでもないが、逆に食べやすければ良いというものでもない。
大衆中華料理や、安い中華レストランで出てくる麻婆豆腐は、醤油あんかけっぽく日本人向けにアレンジされているものが多く、確かに食べやすいのであるが、麻婆豆腐を食べているという感じがしない。ワックである。かつて「ワックMC皆殺し」という歌詞から始まる曲があったが、ワック麻婆豆腐皆殺し、である。

ではどんな麻婆豆腐を求めているか。これを文章で書くのは難しい。麻婆豆腐は宇宙であり、豆腐は恒星、挽肉は小惑星なのだ。それぞれお店によって銀河系だったりアンドロメダだったりするが、宇宙としてのファンタジーがそこになくてはならない。それが良い麻婆豆腐だ。

マイ・ベスト・麻婆豆腐はここである。

香港のチムサーチョイにある四川な火鍋の店「満江紅」(Man Jiang Hong)の麻婆豆腐だ。香港なので四川料理の本場ではないのだが、香港麻婆豆腐紀行をした中で、衝撃の麻婆豆腐に出くわした。ここは是非ともリピーターになりたいくらいである。辛さも抜群。

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そして先ほど行ったばかりであるが、やっと行けた店であるここ。横浜は中華街に位置する「景徳鎮」。麻婆豆腐一皿で1890円もするプライスがちょっと強気だが、ちゃんと満足出来るだけの味とボリュームがある。麻婆豆腐は「どれだけ辛くするか」、でも「辛くしてもどれだけコクを感じさせるか」の鬩ぎ合いだと思っているのだが、非常に高いバランスを保っていた。最高の逸品である。

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そしてもう少し行きやすい店として、渋谷にある「香港ロジ」。「粥」という看板があるので、中華料理としてのソリッドさが期待できる。ここはレベルが高く、どの料理もハズレが無いが、麻婆豆腐がこれまた素晴らしい。上の2店ほど辛くは無く食べやすいが、日本人にすり寄った味ではない。香港ですらハズレ麻婆豆腐に何軒も当たった中、日本の渋谷でこれほど素晴らしい麻婆豆腐を出す店があること自体貴重である。

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この3つに共通する点として
・真っ赤っか
・油ギトギト
・豆腐が四角く、崩れず、四角いまま
・山椒の黒い点が目立つ
というビジュアル上のポイントがある。まず見た目でこの辺が確認出来れば、味は80点以上は間違い無い。

そしてこれからもまた、より良い麻婆豆腐を探し求めて東西奔走を続けるだろう。

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