これは「チー牛」ではない

「すき家」──

どこの駅前にもあるありふれたチェーン店。
腹が減ったとき、胃に流し込むように無言で食べる、都会人の栄養食──

そう思ってた時期もありました。

滋賀の片田舎にUターンした今は、最寄りのすき家まで、車で20分。
国道沿いにあるすき家までシトロエンを走らせる道すがら、何をオーダーしようか、セットはどうしようかと逡巡する。

そして目の前に運ばれてきた「とろ~り3種のチーズ牛丼」。
レッドチェダー、エグモント、モッツァレラのチーズ達が、ゆっくりと溶けていく。これだ。

どんどん溶けていくチーズを前にして、レッドチェダーの味、エグモントの味、モッツァレラの味、それぞれ個別に箸でつまみ、チーズの風味を楽しむ。

すき家ならではのオーストラリア産牛肉の味付け、玉ネギの柔らかさ、米の炊き加減。驚くほど次元が高い。
都会で食べたすき家と、これほど印象が違うのは、自分が渇望状態だったからか、それともお店のクオリティが高いのか。

チェーン店が近所に無い環境になってからは、たとえありふれたチェーン店の食事でも、何も考えずに胃に流し込むような食べ方をしなくなった。
すると、新しい発見がたくさんある。

これは「チー牛」なんかじゃない。
オーダーする時は、「とろ~り3種のチーズ牛丼」と一文字も略さずに言いたい。
それは自分なりの〝丁寧な暮らし〟である。

「とろ~り」と言う時だけ少し恥ずかしいが、慣れの問題だ。

久々のすき家に、これほどの感動が詰まっていたとは。
じっくり味わって、店を出た。

スポンサーです