J-POP DJのメモ vol.5 ~ライブラリ編~

BUBBLE-BがJ-POP DJについて思うところをメモするシリーズです。
今回は、ライブラリの構築について書いてみます。

バックナンバー
J-POP DJのメモ vol.1 ~そもそも編~
J-POP DJのメモ vol.2 ~ジャンル編~
J-POP DJのメモ vol.3 ~選曲編~
J-POP DJのメモ vol.4 ~機材編~

整理が命!ライブラリの品質がJ-POP DJの命

J-POP DJほど選曲の幅が広く、そしてミックスがタイトなジャンルはありません。山ほどの音源を現場に持ち込んで、それをハイペースで使い切るのです。まさにDJ界のアスリート、DJブースの中はさながら戦場です。
そういうジャンルなので、どういう音源を用意してどのように整理しておくか?は、DJ活動の生命線となります。

Vol.2のジャンル編で書いたように、100曲ほどしか持ち歩かずに割り切るタイプのDJであれば、ライブラリの整理まで考慮する必要はそんなに無いと思いますが、フルライブラリを持ち歩き、3時間でも4時間でもプレイ可能な体制を整えてる変態優れたDJならライブラリの整理は必須となります。

僕がライブラリの整理を意識し始めたのは、CDJ時代、大量のCDを持ち運んでいた頃です。
使う曲は1曲なのに、その曲が入ったアルバムを持ち歩いて、毎回アルバムからその1曲を選ぶ、しかも1コーラスしかかけない…という使い方をしていたのですが、曲が増える毎に持ち歩くCDも増えていきました。

こりゃいかん、荷物が増えるだけだから何とかせねばと思い、DJで使う曲をCD-Rにまとめて、DJ用コンピを作りました。
最初の頃はただ使う曲をまとめただけだったCD-Rも、いつの間にか何枚にもなってきました。

すると、自分で把握出来なくなっていくんですよね。どのCD-Rに何の曲を入れたのか。
CD-Rは盤面に曲名を直で書いて管理していたのですけど、15曲ほど詰めると盤面が文字でびっしり埋まり、暗いDJブースでそれを目で追うのがまぁ辛い。

そしてやっと気づきました。ジャンル毎にCD-Rを作り分けよう。そしてアイコン的な絵の要素も入れようと。
まずは4つ打ちのハウス系の曲と、ロックな曲で、CD-Rを分けました。
そしてCD-Rの盤面には、インクジェットプリンターのレーベル面プリント機能を使って、曲名と、ジャケ画像を1枚載せました。
これでだいぶ分かりやすくなりました。が、今度は4つ打ちハウスなどの曲そのものがどんどん増えていき、同じジャンル内で何がどこに入ってるか分からなくなっていきましたが(笑)

ともあれ、クイックミックスをするJ-POP DJであれば、「人力による曲の検索時間」をいかに短縮させるか?がキモとなります。選曲ではなく、どの曲がどこに入っているか?という「検索」です。これはPCDJになっても同じです。

ライブラリの作り方

ここからはPCDJのライブラリの話をしたいと思います。

多くのPCDJの場合、曲の管理はiTunesで行って、それをDJソフトで同期してると思います。つまり、iTunesでリッピングをして、iTunesかDJソフトでプレイリストを作る、という方法です。

自分の場合はiTunesでプレイリストを作ってます。TRAKTORのTrack Collectionで整理しない理由としては、TRAKTORの曲DBがあんまり信用できないからです(BPM情報が突然ごっそり消えたことが何度もあり…)

で、具体的なプレイリストの作り方はこんな感じです。

(1)DJでかけたい部類のプレイリストを作る
(2)リッピングした曲でピンと来たらプレイリストに放り込む

これだけです。

ただし(1)を、どのような切り口で分けるか?が重要であり、DJごとに個性が出る部分だったりします。

例えば「ハウス」(あくまでもJ-POPのハウスアレンジ)というプレイリストを作るとします。まあ、よくありますよね。ここには例えばFolderの「パラシューター」、SMAP「SHAKE」みたいないかにもハウスの曲が入るのです。

同様に「ユーロビート」というプレイリストを作るのであれば、MOVE「Gamble Rumble」安室奈美恵「太陽のSEASON」あたりが入ってくるのでしょう。

さて、このような分け方はどうでしょうか?

「90年代TK」というフォルダを作り、小室ファミリー全盛期だった頃のTK曲だけを入れる。
「ハロプロ」というフォルダを作り、モー娘。などのハロプロ系アイドルの曲だけを入れる。

つまり、ジャンル以外の切り口も色々とありそうです。

さらには、前述の「ハウス」と、「90年代TK」の中には、被る曲も出てきます。例えば華原朋美「I’m proud」はジャンルで言うとハウスに入るので、両方のプレイリストに入れておくべきですよね。
そうすることで、「今日は90年代のTKの曲ばっかりかけたるで!」という日と、「今日は4つ打ちのハウスな曲ばっかりかけたるで!」という日、両方に華原朋美の曲が出てきて、思わず桃の天然水でも飲みたくなるんです。

アレンジを知ることが重要だったりする

例えば、「4つ打ち」と言っても色々あるんですよね。
ハウスっぽい4つ打ちもあれば、生ドラムでの4つ打ちなロックもある。EDMっぽいのもあるかと思えば、デジロックみたいな4つ打ちもあるわけです。
それらを一緒くたにして同じプレイリストに放り込むと、曲が増えた時に、また混乱します。そう、今の僕のように。

最近のロックバンドは「フェス盛り上がり」を意識した曲が多く、4つ打ちなロックが増えてきています。例えばBase Ball Bearとか多いですよね。そのような4つ打ち曲を全て「あ、4つ打ちだ」と思って同じプレイリストに放り込んでしまっていました。

で、現場でどうなったかと言うと、打ち込み系でBPMが125くらいの4つ打ちばかりをかけている時に、あまり生ドラムの4つ打ち曲をかけようって気にならないんです。うまくミックス出来れば良いけど、それって何かしらの展開とか変化を求める時の選曲で、流れの中で自然に混ざるものでは無いからです。

さらに、同じ打ち込み系でも、ソフトな感じのものとハードな感じのものがあります。

ソフトな感じの4つ打ちというのは大概「おしゃれ」な方向で作られた曲だったり。
対してハードな感じの4つ打ちだと、ハイエナジーやユーロビート系であるDA PUMPのUSAだと中くらいのハードさ。
さらにBPMが上がったりしてレイヴやハードコアテクノ系にもなるとかなりハードな感じとなります。
そうなるともうおしゃれな4つ打ちとはミックス出来ませんね。

なので、この曲のアレンジは何なんだ?というのをしっかり区別しておくのが良いでしょう。

曲名で直接検索する時の一工夫

時にはライブラリ全体から、曲名で直接検索することもあると思います。
そんなとき、検索ボックスに日本語で打ち込んで検索しますよね。
だいたい部分検索なので、DEENの「瞳そらさないで」であれば「そらさないで」だけでヒットすると思います。

ここ、いちいち日本語をONにして打ち込みのがまどろっかしい。
それに加えて、あるバージョンまでのMac版のSeratoは、日本語での検索ができないという仕様だった、ということもあり、全曲、日本語の横にローマ字読みの英文タイトルを自分で手入力して曲に埋め込んでいる、という人もいました。
それだと日本語をONにしなくてもサクサクと検索ができるわけですね。

でも超絶面倒なので僕はやってません。

パーティごとにプレイリストを作っていく

上記のプレイリスト作りは、ライブラリ全体の整理の話なのですが、パーティごとに「今回はこれをかけたいな」という曲が決まればプレイリストに放り込んでいく、という使い方もできます。
あくまでも「使いたい曲」であって「そのプレイリストに入れた曲しか使えない」というのとは違う所がポイントですよね。

そうしてパーティが終わり、「この曲盛り上がったなー」というのがあれば、そのプレイリストを複製し、次回のパーティ時に少しずつチューニングしていけば良いのです。

普段のライブラリ+そのパーティで使いたい曲プレイリスト、この2つを準備して現場に向かうと、選曲と検索であたふたせずに済みますよ!

Vol.6に続く