どこか遠く、遙か彼方の海に浮かぶ、最果ての離島のための
“旅情派” アンビエント・テクノ・サウンドスケープ。
 

最果てアンビエント
BUBBLE-B
 


突然ではありますが、旅に出たい気分を創作意欲に替えたら、アルバムが完成しました。
コンセプトは、「遙か遠くに浮かぶ離島への旅」。
ジャケットは利尻島ですが、日本中の離島、どこでもよいと思います。
そこにある澄んだ空気と水、温泉や地下のマグマ、鳥と植物、そして霊峰。
旅を愛する人のための、アンビエント・テクノなサウンドスケープを。
いつものパーティ・ミュージックのBUBBLE-Bとは趣向が違うとは思いますが、
楽しんで頂ければ幸いです。




最果てアンビエント / BUBBLE-B
Ambient for the Farthest Land

01. BOARDING
02. LARUS CRASSIROSTRIS
03. CHLOROPHYLL DUB
04. DEEP BLUE LANDSCAPE
05. WATER OF SOUND
06. YURAMEKI
07. PHYSIOLATRY
08. MAGMA
09. KURIL
10. QUIET WAVE, SINE WAVE
11. PERSPECTIVE
12. RIA COASTLINE
13. 1721
14. INFINITE AIR

TOTAL : 60:00

全曲クロスフェード デモ

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購入可能な場所 (オンライン)

2021年10月20日 ON SALE / TOY-052 / TOY LABEL

【CD】
BandcampのDLコード付き
¥1,650 (税込み・送料無料)
BUBBLE-Bストア (BASE)
【ダウンロード】
ハイレゾあり
¥1,400 (税込み)
Bandcamp TOY LABEL/SPEEDKING PRODUCTIONS
今作は一般流通を行いません。

購入可能な場所 (ショップ)

【北海道・別海/オンライン】
MUSIC SHOP PICKUP

北海道野付郡別海町別海旭町67-3
【北海道・利尻島】
利尻うみねこゲストハウス

北海道利尻郡利尻富士町鴛泊港町85
【北海道・利尻島】
CHICO GARAGE

北海道利尻郡利尻町沓形富士見町134
【東京・中野】
shop MECANO

東京都中野区中野5丁目52-15 中野ブロードウエイ3F
【東京ほか インディーズ取扱店/オンライン】
ディスクユニオン
【東京ほか/オンライン】
メロンブックス
【長野・渋温泉】
歴史の宿 金具屋

長野県下高井郡山ノ内町平穏2202
【静岡】
CORNERSHOP

静岡県静岡市葵区両替町2丁目3-9 カメヤビル3F
【京都】
cafe la siesta

京都市中京区四条木屋町上ル紙屋町366 レイホウ会館 1F
【大阪・北浜/オンライン】
COMPUFUNK RECORDS

大阪府大阪市中央区北浜東1−29 GROW北浜ビル(北浜ビル2号館)2F
【大阪・此花区/オンライン】
シカク

大阪市此花区梅香1-6-13
【兵庫/オンライン】
Tobira Records

兵庫県加西市北条町北条142-9 2F
【広島・江田島】
フウド

広島県江田島市沖美町畑997-2
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卸値価格や販促キットなどの諸条件につきましては、karatechno [at] gmail.com までお問い合わせください。

セルフ・ライナーノーツ

たまたま足を踏み入れた利尻島の雄大さに、衝撃的に感動したのが、20年も前のこと。それ以来すっかり利尻島の虜となり、もはや10回以上リピートしました。
利尻山を見るだけで、都会での疲れや悩みが綺麗に吹き飛ぶような、不思議な魅力がありました。

それ以来、離島の魅力に目覚めました。
礼文島はもちろん、瀬戸内海の島々、沖縄の島々、長崎の島々、そしてわが滋賀県の琵琶湖にすら有人離島があるのです。どの島も、様々な個性を放っていました。

しかし、2021年現在の社会情勢においては、様々なリミッターがかかってしまいます。今年も楽しみにしていた利尻島での野外イベントも中止になってしまいました。
それよりも、心のリミッターの方が深刻です。

これまでBUBBLE-Bとしては、楽しく踊れるダンスミュージックを作ってきたし、今後も作るつもりです。
でも今は音楽イベントもほとんど無く、フロアを盛り上げるためのトラックを作っても、オンライン上に発表するしかありません。

そうした状況の中で自然発生的に生まれたトラック達は、自分の中で消化し切れなかった「旅」への欲を創作意欲へと昇華した、“叙情派”ならぬ“旅情派”とも言えるようなリスニングテクノのトラックでした。

これまで私が発表したことのあるリスニングテクノの作品としては、TOY LABEL黎明期の1995年、Muting Muteという名義でカセットテープでリリースしたアルバム1本のみです。

このアルバムは、当時のケン・イシイやエイフェックス・ツイン、インテリジェンステクノやデトロイトテクノ等に影響を受けていた私が、アルバイトをして買ったファーストシンセのKORG X5DRのみで制作したものです。しかし思ったような作品には届かず、以降この路線は諦めました。
カラテクノなどのハードコアテクノを始める前、19歳の頃の話です。

それ以降は、たまにアンビエントな楽曲を単発で作り、LBTやAVSSといったレーベルに提供した程度でしたが、2016年、DJI Phantom3というドローンを購入してからは空撮にハマり、その映像に自分でBGMを付けようとした時、アンビエント制作熱が久しぶりに再燃したのです。ドローンからは多大なインスピレーションを受けました。

2017年、全曲インストルメンタルで、全曲BPM118のアルバム「118」をリリースしました。
同年、利尻島で空撮した映像のBGMとして作った楽曲「1721」(利尻山の標高)のBPMをたまたま84に設定したことから、次回作のBPMは全曲84縛りで制作することに決めました。
そういう経緯から今回のアルバムは「118」の続編であり、仮のアルバムタイトルも「84」でした。

ヒップホップやR&Bに出自を持たない私にとって、この微妙なBPM帯でのトラック制作経験は少なく、楽しみ・苦しみながらも、今年に入ってからは脂が乗ってきたのか良いペースでのトラック制作ができました。

アンビエントと銘打っても、半分くらいはビートのある曲なので、厳密には全曲アンビエントではないと思いますが、同一BPMによる時間経過感の平坦さの上で様々な形や色が見える様子が本作品におけるアンビエント観、だと思ってます。

Muting Mute時代のファーストシンセであるKORG X5DRもおよそ20年以上ぶりに起動させ、今作の唯一のハードウエア機材として使用しました。液晶画面が小さくて、音色エディットには根性が必要な一台です。

そんな今作「最果てアンビエント」は、BUBBLE-Bの作品としては新たな試みですが、自分史の中ではリバイバルという側面もあります。

ミックスの空間的な奥行きを楽しんでもらうため、マスタリングにおける音圧は低めにしました。
再生時には、ややボリュームを上げて頂くことで、ダイナミクスが楽しめると思います。

楽曲解説

01. BOARDING 搭乗

離島に上陸する手段は、船、飛行機、あるいは懸架されていたら橋だとか色々ありますが、旅情を感じるなら圧倒的に船でしょう。それもフェリーだったら最高です。汽笛と共に出港して、海の上をひたすら進んでいくうちに、遠くの方から島がゆっくりと近づいてくる。これが船旅の醍醐味ですよね。
冒頭で聞こえるアナウンスは、稚内から利尻島に行くハートランドフェリーの船内で流れているもので、鴛泊(おしどまり)という名前が聞けると思います。

02. LARUS CRASSIROSTRIS 海猫

LARUS CRASSIROSTRISとはウミネコの学名。この曲をはじめ、アルバム全体を通して薄く聞こえるウミネコの声は、利尻島南西部にあるウミネコ繁殖地にレコーダーを置いて録音したものです。島の中でもウミネコがたくさんいるところは、ウミネコにとって、何か居心地のよい要素があるのでしょうね。人間ではなく、ウミネコから見た世界もあるはずです。
この曲は2020年、利尻島にある「利尻うみねこゲストハウス」のイメージ映像を制作し、そのBGMのために作曲したもので、収録したのはアルバムバージョンとしてエディットし直したものです。

03. CHLOROPHYLL DUB 葉緑素のダブ

新緑がモリモリ育っているのを見ると、人間より植物の方が断然に生命力があると思うわけです。葉っぱ1枚1枚に無数の細胞があり、葉緑素が光合成している。光と水と葉緑素の世界って不思議だなあと思いながら作りました。

04. DEEP BLUE LANDSCAPE 群青

琵琶湖にも離島があるんです。有名なのはパワースポットとして知られる竹生島(ちくぶしま)と、有人離島の沖島(おきしま)。穏やかな琵琶湖の中に佇む小さな離島と、透明度の高い淡水がどこまでも続いている感じは、琵琶湖の北部に行けば堪能できます。
この曲は琵琶湖でのドローン空撮映像のために作曲し、作品は2020年東京都主催の「アートにエールを!」採用作品となりました。

05. WATER OF SOUND 水の響き

水の音だけでリズムを組む…という無茶をしてみたいと思って、利尻山の3合目の湧き水「甘露泉水」の音をレコーディングして、分解したもの。しかしあとで聞いてみると「ジャーー」としか鳴ってなくて、一体これをどうリズムにするんだ?と…。SteinbergのMultiTap Delayを多用して空間を作り、立体的な水の世界からグルーヴを作り、UVI Falcon2で少し音階を足してみました。タイトルはフィル・スペクターのWALL OF SOUNDへのオマージュのつもりです。

06. YURAMEKI 温泉と光

壱岐島にある茶褐色の温泉に入った時、陽の光が湯船にキラキラと反射し、その模様が天井に模様を作り出していて、天然のビジュアルエフェクトみたいになっていたのが面白く、そこから着想して作った曲です。温泉の気持ちよさというのは視覚的な要素も多分にある気がします。

07. PHYSIOLATRY 自然崇拝

古来から人々と自然の関わりの中で、山はしばしば信仰の対象となります。山頂に祠が奉ってあるのも意味があるのです。「自然に神が宿る」という考えは日本だけでなく世界中に見られるもので、人間とは比べものにならないほどの大きな自然と対峙した時、共存していくためのコミュニケーションの手段が自然崇拝なのでしょう。密教的で呪術的な音になりました。

08. MAGMA マグマ

海底火山が噴火して、その堆積物が海面上に飛び出たことで形成された島も数多いです。噴火は何万年も前に行われたり、小笠原諸島の西ノ島のようにリアルタイムで噴火し、島がどんどん拡大しているようなところもあります。利尻島の利尻山も8000年もの昔に噴火した火山なので、ゴツゴツとした溶岩に覆われてます。マグマだまりに地下水が流れ込んで暖められたのが温泉として湧き出すのですが、何千年も噴火がなくても熱くて濁った温泉がコンコンと湧き出ているのを見ると、マグマの果てしないエネルギーを感じます。

09. KURIL 千島列島

クリルというのは千島列島のロシア語・英語圏での呼び名で、北方領土である択捉島の先からカムチャツカ半島にまで連なる無数の島々のこと。公式には帰属未確定の島々ですが、現在はロシアが実効支配しています。そんな千島列島には原住民としてアイヌ民族が住んでおり、北海道との民族的な連続性がありますが、現在有人島なのは幌筵(パラムシル)島、占守(シュムシュ)島の2つだけで、その他は無人島です。特にカムチャツカ半島にほど近い阿頼度(アライド)島という島は標高2339メートルの火山が中央にそびえる島で、その様子はまさに最果て、地の果て。永遠の孤独のような時間が流れているのでしょう。もちろん行ったことはありませんが、着想は阿頼度島です。

10. QUIET WAVE, SINE WAVE 凪

インタールードとしての曲。低めの音程で、左右にデチューンしてうねりを生み出しているサイン波をベースに、ベーシックな波形たちだけがシンプルに鳴っています。この曲は、高校卒業後にバイトして買ったファーストシンセのKORG X5DRを20年ぶりに起動し、これ1台だけで鳴らしてます。X5DRの音は、当時はもっと薄っぺらくて使えないなぁという印象だったのですが、ちゃんとした入力環境で録音してミックスしてやると、何だか即戦力として全然現役で使えそうな気がしました。アンビエントの大御所ブライアン・イーノの名盤「Ambient 1: Music for Airports」の1/1のような、ランダム性のあるタイミングの中で調性を外さないシンプルな音、というフォーマットです。

11. PERSPECTIVE 展望

自分が旅に出てやっていることといえば、カメラの画角を決めるためにあちこち動いたり、絞りやシャッタースピードを変えたり、そんなことばかりです。写真を撮ってもどこにも出さないのに、わざわざ朝4時に起きて水平線にカメラを向けて何時間も粘って撮影するとか。その情熱はどこから来るんでしょうね。会社員だった頃はすぐに疲れてヘトヘトになっていたのに、旅でカメラを持つとまるでカメラに先導されるように突き動かされ、全然疲れない自分に驚きます。カメラと、カメラに対する自分、というところから着想したこの曲は2019年に新宿BE-WAVEで行われたイベント「Apollo Kids Lite」出演のために作ったのが原型で、ミックスなどを大幅にエディットして完成させたものを収録。

12. RIA COASTLINE リアス式海岸

リアス式海岸とは狭い湾が複雑に入り組んだような地形になった海岸のことで、日本では宮城や岩手などの三陸の海岸が有名ですが、全リアス式海岸ファンなら必見ともいえるものは対馬にあります。対馬は上対馬、下津島の2つの島が上下に連なった形状をしていて、その真ん中にある浅茅湾(あそうわん)はこれ以上ないほど複雑なリアス式海岸が360度に広がっており、圧倒されます。この曲は、対馬で撮影したドローン空撮映像のBGMとして制作したものに、アルバム用のエディットを施したものです。

13. 1721 標高1721m

1721という数字は利尻山の標高のこと。このアルバムで最初に制作したのがこの曲で、利尻島のドローン空撮映像のBGMとして2017年に制作した曲です。セルフライナーノーツにも書きましたが、この曲が利尻島空撮映像のBGMであったこと、BPMをたまたま84にしていたことから、今回のアルバムのコンセプトが決まっていきました。前作の「ガモリ3」(2019年リリース)にも収録しなかったのは、今回のインストアルバムが何となく頭にあったためです。

14. INFINITE AIR 無限の空気

地球上、どこに行っても空気があり、風が吹いている。その風はどこから来て、どこに向かうのだろう?というところから着想した楽曲。こういう持続音が延々と続くタイプのアンビエントはドローンというのですか、空を飛ぶ方のドローンとは関係ありません。Steinberg Padshop 2とUVI Falcon2で作りました。

Bandcamp only ボーナストラック

Bonus Track 01. RISHIRI ISLAND

Bandcamp配信版にはボーナストラックが2曲あります。そのうちの1曲目は、その名も「RISHIRI ISLAND」。そのまんまの直球すぎる曲名ですが、制作はぐっと古くて2007年。14年前だというのに、このアルバムのために作った新曲みたいな芸風で、何だか恥ずかしい。自分、あまり変わってないんです。制作は、利尻島の公園にラップトップを持って行き、利尻山を見ながらノートを打ち込み、音作りをしました。でも太陽がキツ過ぎて画面が見にくいわ、虫に刺されまくるわで、やっぱりDTMは自宅でやるに限ります。その時作った何小節かを2年ほど放置した後に自宅で完成させ、2009年にリリースされたAVSSのコンピレーション「LOUNGESTA」に収録されました(LOUNGESTA収録時の曲名は「利尻島」)。今考えると、この曲が最果てアンビエントのプロトタイプなのかも知れません。

Bonus Track 02. MYSTIQUE

ボーナストラック2曲目は、2010年制作の「MYSTIQUE」という曲。これも、AVSSのコンピレーション「LOUNGESTA SESSION 02」のために制作したものです。制作時のことは何も覚えてないですが、広くて音の反響がひどい部屋に住んでおり、Cubase4を使っていたと思います。

空撮動画紹介

利尻うみねこゲストハウス公式PV

Track: LARUS CRASSIROSTRIS

MOTHER LAKE ~Aerial of Biwako~

Track: DEEP BLUE LANDSCAPE

Coastline Of Tsushima

Track: RIA COASTLINE

June in Rishiri Island

Track: 1721


2021 TOY LABEL / SPEEDKING PRODUCTIONS Office