自己プロフィールについて考える

matayoshi

音楽関係の自己プロフィールは深い!
そこに何を書くか。どう書くか。ウソを書くのはダメだけど、プロフィールをどのように書いているかでその人のスタンスが丸分かりになる。読み取り方に慣れていると、どういう性格で何を考えているか?まで読み取れるのが自己プロフィールだ。ある意味結構怖い。

僕も自分のホームページやSNSのページやブログなどを持ち始めて結構経っているが、プロフィールは刻々と変化して来た。書いたときは「こう書けば格好いいし、こう書けばハクが付くかな」とか思って色気を出したりしても、ちょっと経ってから見てみると何だかな~…ってことばかりである。
とはいえ、色気のないプロフィールはつまんなくなりがちな気がする。目立ちたい!頭一つ抜けてみたい!みたいに思っていれば、色気のないプロフィールを書いてる場合じゃないのだ!

こと音楽、特に自分たちみたいなダンス音楽界隈になると、こういうのが定番だ。

  • ○○(有名どころ)らと共演を果たし…
  • ○○(大きめのクラブやイベント)に出演し…
  • ジャンルをボーダーレスに越えて…
  • オーディエンスに定評がある…
  •  

    この手のテンプレ感に対するツッコミはネット上でも何度も話題になっているが、振り返ると自分もこういう感じで書いていた気がする。
    これはDJの人っぽいプロフではあるけど、「○○との共演」とか結構書いた… 「実力・センス的には○○に認められたレベルだぞ」というニュアンスがあると思う。
    しかし「○○と共演」などと書いてしばらく経ってから再び○○氏に会う機会があった時、覚えてもらってないのではないか?声掛けて覚えてもらってなかったらどうしよう?とも思ってしまうものである。共演と書いたのに。それは共演と言うのか?相手は自分のことを共演したと思ってくれているのか?そういう疑問がグルグルと頭の中を回る。
    そして時が経ち、何年も前に1度共演しただけの人のことをずっとプロフに書き続けるのは、10年前に一度来ただけの芸能人のサインを焼けた色紙のままずっと店に貼り続けているお好み焼き屋みたいじゃないか…
    ジャンルをボーダーレスに越えてと言ってもなあ。自分より遙かに音楽知識のある人だっていっぱいいるわけだしなぁ…
    そんな自意識過剰な自己ツッコミが定期的にあるので、そのたびにプロフを変更する。

    で、結局プロフには何を書けばよいか。
    自慢話はもうたくさん!お前がセンスあることも○○に認められていることも、文章の上では分かったよ。でもそんなことみんな書いてるじゃないか。そうじゃない、もっとオリジナルな部分が無いのか? オリジナルと言っても、奇抜という意味でも無茶苦茶という意味でもない。逆立ちしてカレー食うことが得意 とか書けばいいわけではないぞ!

    みんなが認識しているような自分のアイデンティティを簡潔に書けばいい。
    これだ。

    要素としては二つ「みんなが認識してるような」「自分のアイデンティティ」である。いくら「俺はこうだ!」と自分で思っていても、みんなが思っていないと、そのプロフには意味が無い。それは自己主張であり決意表明である。そして自分のアイデンティティ、これは自分を構成する要素、つまりスキルでもこれでドーンと有名になったでも何でもいいと思うが、自己プロフィールにはそういう真似できない部分こそ必要。上に書いたような「○○と共演」とか「定評がある」というのは、それは音楽をやっていない人の輪の中では音楽をやっているというだけでアイデンティティになるだろうから有効だろうけど、音楽の人だけで集まったときはだいたいの人が何かしらあるぞという意味で、アイデンティティとしては弱い。
    テンプレートは文字数を稼げるが、政治家の言葉遊びと同じである。「オーディエンスに定評がある」という言葉は政治家の「前向きに検討していく所存」という言葉と何ら変わりはないぞ…

    しかしテンプレート感の無い、面白いプロフィールには引きずり込まれる。この人何者なんだ?という掴みで興味を惹かれ、アイデンティティと実績から実力と哲学が伺い知れる。そんなプロフィールが理想だが、その境地に達するまでの道のりはまだまだ遠そうであるが…

    ちなみに自分の今のプロフィールはこんな感じである。

    滋賀県大津市出身。
    音楽プロデューサーとして、90年代前半より数々の作品を世に出す。
    BUBBLE-Bはソロ・プロジェクトの名義として、2000年にスタート。様々なスタイルを持つが一貫してファンクネスにあふれたトラックを作り続ける。
    エディットやリミックスを中心としたソロ・プロジェクトと共に、BUBBLE-B feat. Enjo-G名義での全てのトラックと映像も手がける。
    ダンスミュージックのテイストをもったポピュラーミュージックを作ることを至上命題としている。
    レーベルとして1994年からTOY LABEL、2008年からSPEEDKING PRODUCTIONSを主宰し、多くの作品をリリースしている。
    また、グルメチェーン店の1号店の研究家として、数々のメディアでコメンテーター出演をしている。
    他、自他ともに認める車好き。

    ツッコミどころだらけくらいの方がいい。

    ※本文と写真は無関係