1991年、中学3年の時。NHKスペシャルで6回に渡ってシリーズ放送された「アインシュタイン・ロマン」という番組に当時、大きく影響された。番組の分かりやすさ、興味を持続させる巧みさ、美しい音と映像に、何度も録画したビデオを見た。
あの番組の音楽がまた好きで、特にオープニングの曲の高揚感がたまらなく、サントラ盤もよく幾度となく聴いた。
エンドクレジットに、音楽:篠原敬介 とあって、どんな人だろうと思っていた。
暫くして、この楽曲を作曲した篠原さんという人に、感想を書いて送りたいという気持ちになって、便せんにアインシュタイン・ロマンの楽曲の感想を書いて、どこに送ったら良いか分からなかったので、とりあえずNHK宛てに送った。
待つこと数週間…
ある日、一通の封筒が郵便受けに入っていた。差出人・・・ 篠原敬介 ・・・!!!
返事が!!!
学校帰り、興奮で震える手で封筒を開け、返事を読んだ。
僕の稚拙で生意気な感想に、喜んでもらえたようで、「こんにちは。感想ありがとう。こんな詳しい感想は初めてです」という書き出しだったのをはっきり覚えている。
大感激である。
大きな衝撃を受けたし、何かを決意した気がした。
その手紙は、実家にまだあるはずだ。(親が掃除の時とかに捨ててなければ…)
いつか篠原先生にお会いしたい、、、と思い、月日が経った。
そして昨日、ふと、篠原先生は最近はどんな音楽を作っているのかな?とWebで調べた。
これまでも幾度か調べているし、NHKの特番ものを中心に様々な仕事をこなしておられるなぁ~と思っていた。
しかし、目に飛び込んできたのは、2011年8月、心不全のため 享年52歳にて急逝 という文字だった。
もう、大ショックで…
ついに一度もお会い出来ずだった。中学の時にもらった手紙のお礼を、手紙を持って一度はお会いしたかった篠原先生…
別の方のブログによると、葬儀は密葬で行われ、逝去したことは長い間公表されなかったとのこと。
そのせいか、ウィキペディアの情報では、まだご存命している書き方になっている。
自分の今の音楽とは全くジャンルは異なれど、先生だと思っている。例えば、少年時に遊んで音楽に影響されたドラクエのすぎやま先生を慕うミュージシャンは多いが、それと同じで、テレビ番組が入り口であったが、その音楽は何かしらの影響を僕に与えたことは間違い無い。
そして、このアインシュタインロマンが放映された時の篠原先生は32歳であったこと… 今の自分より年下じゃないか…
今の自分が、音楽について丁寧な感想の手紙をもらって、さらに丁寧に返すことが出来る人間か? 自問してしまう。
篠原先生、安らかにお眠り下さい。貴方の手紙は宝物です。