京都に住んで1年半。駅近くの超絶的に便利な所に住んでいるのだが、日本全体で見ると京都だって地方都市。
ただ住むだけなら首都圏の機能と大して変わらないと思うが、音楽をやる側とか、何かのカルチャーやトレンドが伝わっていく側面から見ると、東京と京都はずいぶん違う。いや、むしろ東京とそれ以外といった感じだと思う。
日本は東京かそれ以外か、とよく言われるが、それはどういうことだろうか?
今はネットが普及してるから、日本中どこに住んでもフラットに情報が与えられるんじゃないの?いまだに東京の人だけが恵まれてることは無いんじゃないの?と思われがちだが、全然そんなことは無いように感じる。
では何がそんなに東京に集まってるか?と言うと、人である。それも、日本中から。
自分の意志で田舎から東京に出てくるやつというのは、何かしらの野望や目的を持っていて、田舎では満たされなかった何かをそこで満たそうとする。(17年前の自分がそうであったように…)
たまたま自分の場合は音楽だったが、東京で音楽をやってる人間の多くは地方から来たのでは無いだろうか?という感じだ。
そういう人間は常に仲間を探しているし、エネルギーも高いし、アンテナの感度も高いから、とにかく東京のあちこちに行く。新しいものに敏感になっている。そして田舎では叶わなかった、価値観や知識の近い仲間が出来てくることに至上の喜びを感じる。
エネルギーのある人間が集まるところには必ずヒエラルキーのピラミッドがあって、そのトップにいる層の発言の伝播スピードと影響力は相当なものがある。なぜならそのヒエラルキーのピラミッドは、そこの価値観を浴びるために東京に来た者で占められているので、アンチテーゼは意味をなさない。
そしてそのピラミッドの中にズバーンと情報が流れると、東京では一瞬にしてそこに人が集まる。
テレビCMに予算を費やしまくって企業が作り上げたものではなく、形のない砂上の楼閣のようなヒエラルキー・ピラミッドの中で確固たる上意下達の情報伝播が産み出すサムシングのことを、サブカルチャーと言うんだと思う。
だがそのピラミッドの大きさは、東京23区プラスαくらいのものでしかない。
関西はおろか、静岡や山梨にも届いていないだろう。
去年話題になったマッドマックスだってそうだ。東京では身の回りの複数のおもしろいやつから口をそろえて「あれはヤバイ」と言われ、即見に行った人も多いのではないだろうか。
しかし大阪のIMAX劇場に、週末の夜にマッドマックスを見に行った時、客は自分を入れて5人しかいなかった。
東京でヤバイと言われまくり、爆音上映会が毎回満員になっていても、そのヤバさが関西には伝わってきていなかったのだ。でも、ディズニーやジブリみたいにTVCMをバンバン打つ映画じゃないから、口コミが伝わらなければ客は来ない… そんな所だろうか。
関西はサブカルが弱い、劇場に人が入らないと、2000年くらいから言われ続けているようだが、これほどだとは思わなかった。
エネルギーがあってアンテナ感度が強くて価値観の合う仲間を求めている人間は、ほとんど東京に吸い取られてしまったのだろうか。
ネットが普及して情報伝達はフラットなはずなのに。
マッドマックスのは一例だが、このような例は枚挙に暇がない。
こと大阪に関しては、安易に東京のマネをしてはいけないという無言の心のストップがあり、東京で騒がれているものにすぐ便乗するやつは自分を持ってない軽率なやつだとする悪い癖があることは否めないが、それならまだ「知ってるけどアンチ」であってほしい。「マッドマックスがヤバイ」が関西まで伝わらないまま公開期間が終わり、アベンジャーズが始まったのを見届けた気がする。
やはり日本は、東京かそれ以外か?なのだろうか。
もっと関西に活気が欲しいし、地方から発信するものが欲しいと、京都で思う。