次の7代目ゴルフが先日発表されて、今の6代目ゴルフとどこが違うんだ?と、そのVW鉄壁のキープコンセプトっぷりにたまげた人も(自分含めて)多いと思いますが、そう、モデル末期の6代目ゴルフ。何かまだ、出たばっかりのような印象があるけど、時が経つのは早いのか、ゴルフのモデルチェンジが早いのか…
そんな6代目ゴルフのスポーツグレード、GTIを試乗。
コンサバさの中にも、シュッと主張するグリル上下の赤いラインこそが、GTIの証し。分かるヤツだ分かればいいんだ、というスタイルが潔い。
子供の頃って子供舌だから、うまい棒とかああいう味の濃い食べ物を美味いって感じるけど、大人になって分かる味って、例えば出汁の味とか、その出汁が何から出てるとか、塩の種類とか、そういう部分だと思う。それが大人になること。
こういう控えめスタイルを格好良い!と思えるようになれば、車好きとしての大人の階段を一つ上がったも同然。ゴルフGTIと弟分のポロGTIは、そんな大人にグサっと刺さる車だと思う。
だからゴルフGTIは、乗り込んでみるまでは特に何も変わったところは無いのだけど、いざエンジンを回して走り出せば、5メートルも走れば、「こいつは違う」と絶対気づく。
音が違う、ハンドリングが違う、パワーが違う。どこまでも安心して運転できそうだし、喧嘩をふっかけるようなスポーティな走りもこなせる。その時は、とんでもない重低音のマフラーサウンドが楽しめる。これがGTIなのだろう。
そりゃもう、いい車。コンパクトなのに、ギュッと凝縮されている。手を抜きたくないから、これくらいのプライスはしまっせ、と自信満々だ。無理に安くして、チープさ丸出しにはしない。その伝統を守ってきている感じがする。せっかく特別なグレードのGTIを買うのだから、買った人は買ったら絶対満足したいわけで、それに明確に答えてくれているように思える。
そしてGTIといえばこれも伝統。チェック柄のシートと赤い糸のステッチ。シートの座り心地も素晴らしい。
ただ、ゴルフはベーシックグレードのTSIも十分いいので、このGTIとの価格差を考えたときに、ちゃんとGTIである分だけ楽しめるようなカーライフを送れるかどうか、オーナーの資質も同時に問われると思う。
100万くらい違うしね。しかも分かるヤツだけ分かる車だしね。
それが分かったとき、大人として一皮剥けるんだろうなあと思わせる、いわば人を育てる車なのかも。