今マツダが最も気合いを入れている技術は、スカイアクティブ。これがどんな物かというと、エンジンやトランスミッションなどにおいて、駆動の効率化を極限まで追求してロスを減らし、燃費を良くするというもの。すでにデミオでエンジンのみスカイアクティブを搭載したものは発売されているが、第2弾としてアクセラに搭載された。今度はエンジンだけでなく、新開発の6速ATも含めてスカイアクティブである。なんだか昔のシトロエンのハイドロニューマチックみたいである。
燃費向上のためのテクノロジーの開発は世界的な潮流であり、メインストリームはやはりハイブリッド。そしてエンジンの低排気量化+ターボというもの。この2つだろうけど、マツダはどちらにも手を出さず、ひたすら過去の技術をリファインした。この辺、広島魂というか何か根性みたいなものを感じてしまい、マツダのデミオで車を知り、ロータリー四十七士の話などをプロジェクトXで見た身としては、表に出てこないエンジニア達の活動を寝る前に想像したりして少しホロっとするポイントである。まさに正攻法。内燃機関の可能性を追求してさらに推し進めた結果がいまここにあるわけだ。
しかしながらマツダは「走りの良い車を創るメーカー」である。走りの悪い車はもはや今のマツダには無い。Zoom-Zoom以降、ドライバーが主役となれる車を作り続けてきたマツダが作るエコカーとはどんなものか。我慢したくないエコカー。でも、我慢しないと燃費が稼げない。この中間のバランスを上手にチョイスしたのがこのアクセラだった。
走り出してもエコカーであると全く思えない。普通、である。アクセラの素性の良さでもあるガッシリ感、ハンドリングの気持ちよさは失われていないし、やや高回転型と言われるマツダのエンジンの性格もそのまま、気持ち良く走れる。普通に走って普通に燃費がいいという。我慢する必要が無い。これは素晴らしい。
そしてマツダの人は言う。「燃費が悪くなる原因の一番は、人の運転の仕方なんですよ」と。そりゃそうだろう。車がいくら頑張っても、それがプリウスであっても、乱暴な運転をしているようじゃ燃費は良くならないだろう。
そこでマツダはスカイアクティブを搭載したデミオから、「i-DM」という、運転をゲーミフィケーションする機能を搭載した。良い運転に対して点数を付けるのである。それによって、人間そのものを改良していくという算段だ。
ここ最近の車での省燃費走行とは、10年前とは異なり、ハンドルワークまで燃費に影響するのだという。i-DMはそういう所までキッチリと点数化してくれる。車の準備はできた。次は人間の番だ、というわけだ。
スカイアクティブのアクセラ。走る楽しさを追求するために広島のエンジニア達が残業しまくって(予想)頑張っているのだろう。そんな雰囲気が痛いほど伝わって来た。とても真面目な車だった。