「DotecAudioのVSTプラグイン Deeシリーズが面白すぎる」

友人でありミュージシャンのフランク重虎さんが、なんとエフェクターをプロデュース!
しかもコンプ、パンポット、マキシマイザーという、マスタリングやミックスダウンでの利用を想定したプラグインから発表するというのが何とも彼らしい!

そのブランド名は「Dotec Audio」。ドーテック・オーディオ。ドーテックという造語を聞いてすぐに分かる人はフランク重虎ウォッチャーだろう。あえて意味は説明しないでおこう。このプラグイン群のコンセプトはまさに「Dotec」哲学で貫かれており、そこが他のプラグインとは全く違う、一番の特徴だろう。

フランク重虎さんがまだ10代の頃…と言っても年は僕と同じだが、ハイパーリッチレコードという東京のハードコアテクノレーベルにて、「ロケットモトクロス」や「ゴリラ先生」と言った数々の変名で曲を発表していた頃、その残酷とまで言える音圧は明らかに他を圧倒しており、その後ハイパーリッチ総帥のソニックドラゴルゴをコンプ狂に染めてしまったという伝説があるほど、早くから音圧師であった。

その後も数々のソロ活動で、「232COMIT」名義でSPEEDKINGシリーズに参加して頂いたトラック達も音のバランス感や音圧感に独特のサディスティックでディストピアな味わいがあり、気持よく低音が暴れている。

現在の氏の音楽活動である「VALKILLY」でもその音世界は貫かれており、まさにフランク重虎サウンドとしか言えないものだ。

そんなフランク重虎さんがプロデュースしたコンプ「DeeComp」は、氏の長年のサウンドメイキングから氏が必要とする性能を追い求めた理想形である。全ての人の音楽制作にドハマリする汎用性よりも、エッヂの立ったサウンドをギリギリのラインで追い求めた時に選択肢になる、そんなプラグインのように思える。

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やたらデカいw そしてメカメカしくギア感のある「男の子の夢」みたいなデザイン。これはゲーム「鉄騎」のメカデザインを担当した出雲重機さんによるデザインであり、楽器というよりデンジャラスでサイバーな兵器を思わせるものとなっている。

WAVESのC1などの定番コンプにあるようなXY軸上にマッピングされたグラフィカルな要素はVUメーターしか無く、コンプの意味をある程度分かって、かかり方が耳で判断できる人向けのプラグインとなっているのだが、左側のレバーから順番に触っていくことで誰しも理解できるはずだ。

音としては攻めることのできるコンプだと感じた。特にアタックを0にした時の、パチンパチンとした強烈なアタック感は、このコンプの真骨頂だと言えるかも知れない。このパンチ感はC1では出てくれない。

楽曲トータルにかけるよりも、楽器単体、特にパーカッション、ドラム、ベースといった、アタックが欲しいところに対してピンポイントに使うと、その音がガンガン前に出てくるようになるので、このDeeCompのカラーが活かせるのではないだろうか。

サイドチェインやハイパスフィルタも搭載しているので、もっとトリッキーな使い方もできる。

そして2番目にリリースされた「DeePanpot」は、パンニングだけをしてくれるプラグイン。
これだけはフリーで配布されているので、是非入手しよう。

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左右のスピーカーの音量を変えるのではなく、ハース効果というのを利用して自然な形で聞かせるパンニングプラグインだという。使ってみたところ、左100%に振ってみてもまだ右から残響が聞こえてるし、その逆もまたしかり。残響成分ごと全部片側に行くのではなく、残響のある音に対して左100%でかけると、左側にある楽器から全体に残響が響くような感じでかかってくれる。

こういう処理はこれまではWAVES S1 Imagerでちょっとモノにしてから左右どちらかに寄せて、そこからリバーヴみたいなことをしていたが、このプラグインはその辺の面倒臭さを解消してくれると思う。
左右につまみを動かした時にちょっとプチノイズが乗るのはアップデートに期待しよう。

そして最新作「DeeMax」!

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折しも世間はMAD MAXに汚染された人間達があちらこちらで歯を銀色にしてV8!V8!と叫んでいるわけだが、このDeeMaxのデザインたるや。これ、一応楽器だぜ…何このハンドル? しかも妙に立体的でリアル過ぎるし、相変わらずデカイし。イモータン・ジョーがこれをグッと押し上げれば、奴隷に水を与えることができるとでも言うのか? デザインはまさに「Dotec」ワールド全開である。だからドーテックって何かって?そろそろ分かるのではないかね?

これはマキシマイザーである。マキシマイザーというのは音圧を稼ぐという意味ではコンプレッサーと同じようだが、仕組みも音処理も全然違う。音の出口が絶対に0dbを超えないような使い方を想定しており、その中で様々な処理により聴感上の音量を稼ぐというやつだ。

この「様々な処理」こそがマキシマイザーの真骨頂であり、「聴感上の音量は上がってるけど音楽の中身は変わってない」と感じさせることが出来ているマキシマイザーほど、優秀だと言える。

つまり設計自体、人間のあやふやな「聴感」を相手にしたものであり、さらに無数の音楽ジャンルを相手にしなければいけないわけだから、いろんなメーカーから出ているマキシマイザーそれぞれに得手不得手があるように思える。

個人的な使い方としては、マスタートラックに挿して最終的なレベル調整がメインとなる。あとはたまにボーカルやアコースティック系の楽器チャンネルに対して使う。

定番としてはやはりWAVESのL1、L2、L3シリーズ。それぞれに癖があり、音が太くて荒々しいL1と、繊細でオールマイティなL3という感じ。あとSONNOX OXFORD INFLATORも多用している。こいつはL3だと低域のパンチ感がなくなって困るような曲の場合でも、パンチ感を保持したまま音量を上げてくれる。ただし入力する音の傾向によってはたとえアウトプットゲインが+0.5dbでINFLATORをOFFにしていても音が濁ることがあるので、万能ではないと思っているが、ユルめで使うのであれば優秀なリミッターだ。

ここでDeeCompはこれらの定番に対してどのような仕事をしてくれるのか?ということだが、これが結構いいセンなように感じた。
レバーは上まで上げると数値は100まで行くのだが、実用的なのはインプットレベルの時点で0db超えてるようなソースだと、せいぜい15くらいまで。それ以上は歪んでしまう。まあ、どんなマキシマイザーもそこはそんな感じだと思う。
性能としては、0から15まで上げる中で、どれだけ音質が変化するのか?ということであるが、まだまだいろんなソースで試したわけでは無いけれど、低域のパンチはしっかり保持されていたので、SONNOX OXFORD INFLATORと似たような性格だと感じた。

やはり欲しいのは、インプットとアウトプット両方のレベルメーター。できればスレッショルドのメーターも。どれだけの入力が、どれだけリミットされて、どれだけのアウトプットとして出力されたのかが知りたいなと、強く思う。

というわけで長々と書いたけど、DotecAudioのDeeシリーズは、音楽で攻めたい時にはとっても面白いツールだと思うので、皆さんも是非チェックしてみてください!
ゆくゆくはサイバーな音しか鳴らないシンセとか作るような気がする。

DotecAudio

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