どこかは分からないけど、大きく新しい会場。
何かの開会式が行われている。
観客席には満員の人が、世界各国の旗を振り、笑顔でその時を待っている。
やがてスモークが炊かれ、暗転したメインステージに、4人のシルエットが浮かび上がる。
「誰だ?」
「何が始まるのだ?」
ざわつく会場。
突如、激しい8ビートのイントロが始まり、一気に照明が点く。
♪
乾いた風にかき消されて
最後の声も聞こえない
歪んでく街並みも 色あせて
(ギター)デデデデデデデ~
そこには、遠くを見つめ、現役当時と寸分変わらないスタイルで歌う氷室京介。
横で激しくギターをかき鳴らす布袋寅泰。
微動だにせずベースを弾く松井恒松。
正確かつ激しいリズムを叩き出す高橋まこと。
今は2021年、誰もが思った。
「俺たちは、幻を見ているのだろうか?」
♪
OH BABY TRUE 不器用な愛で
OH BABY TRUE いつも傷つけあってたネ
OH BABY BLUE 抱きあっていたけど
OH BABY BLUE 違う明日を見つめてた
どれだけの人が、不器用な愛によって傷付いただろう。
そして、どれだけの人が違う明日を見つめてたのだろう。
「これだよ、これ!」
「これが見たかったんだよ!」
涙する人々。抱き合う人々。
席を立ち、サビで合唱する何万人もの人々。
♪
ON THE WING WITH BROKEN HEART
やぶれた翼で
ON THE WING WITH BROKEN HEART
もう一度翔ぶのさ
ON THE WING WITH BORKEN HEART
こわれた心で
ON THE WING WITH BROKEN HEART
もう一度笑ってよ TO THE BOYS & GIRLS
やぶれた翼で、もう一度翔ぶのさ…
壊れた心でもう一度笑ってよという歌詞が、多くの観客を虜にする。
最後に笑ったのはいつだろうか…
激しいビートに夢中になり、合唱し、盛り上がる観客たち。
いつの間にか、多くの人が号泣している。
そしてあっという間に演奏は終わる。
「センキュウ!」
そう言い残し、たった1曲だけの〝復活ライブ〟を行って、ステージを去る4人。
見たいのはこれだった…
という夢を見た。