シトロエン DS3という車に乗っている。
ピンと来ないかも知れないが、シトロエンというフランスのメーカーの、DS3という名前の車だ。
最初に買ったのは、2012年。
今は無き、川崎のシトロエン宮前で。
初めての新車、ハンコを押す手が震えた。
素敵なドライバビリティ、素敵なデザインに猛烈に惚れての新車購入だった。
最初に… というのは、2年後、この初号機は運転手(自分)のウトウト運転により、伊豆の山中で不慮の自損事故を起こし、再起不能になってしまう。
ショックだったなあ…悔やんでも悔やみきれない。
人身事故じゃなく、物損も無かったのが不幸中の幸いだった。(コンクリートブロックにドカッとぶつかった)
そして、ヨーロッパの厳格な安全基準によりエアバッグも無事に作動、運転手には擦り傷ひとつなかった。
DS3は安全な車だった。
でも…
車どうしようと思って、もう贅沢できないなと思って中古車を見ていた時、同じグレード、同じ色のDS3を京都で発見。
のたうち回るほど悩んだあげく、買ってしまった。2台目のDS3。
2014年のこと。
戻ってきた。たしかに、こいつだった。
新車購入したやつは2012年製。
これは2011年製で1年古く、前オーナーが11000キロ走っていたタマだ。
それでもDS3はDS3。素敵なドライバビリティと素敵なデザインにシビれる日々が戻ってきただけで感激だった。
「DS3で良かった」
運転する度にそう思った。
途中で終わった初号機とのストーリー、その続きを綴ろう。
京都の美山も。
高知も。
日本最北端も。
長崎も。
白川郷も。
千里浜なぎさドライブウェイも。
秋田へも。
様々な所に僕を連れていってくれた。
それは、常に素敵なドライバビリティだった。
オフ会だって楽しかった。
この時の皆さんは、まだ乗っているだろうか?
故障といえば、何度かエンジントラブルに見舞われた。
最初出た時、ビビったわ…
突然1気筒動かなくなって、プスンプスンと馬力が出なくなる。
エンジンを切ったら、冷却ファンが爆音で回り続ける。
すぐにディーラーに駆け込んだら、「ミスファイアのログが残ってます」と。そりゃそうだろうけどさ…。
直噴エンジンだとよく起こる問題らしく、いろいろと対策を講じた。
こういうこともやった。
WAKO’SのRECSで、堆積カーボンの除去。
なかなか効果あった気がする。
イグニッションコイルとプラグの全交換。
これで文句ないだろう?
と思ってたら、交換の翌年また同様のエンジントラブル。
なんだよもう。
どうもこの型のエンジンの持病らしくて、高速道路で6000回転くらいのローギアで1分くらい走ることで堆積カーボンを吹き飛ばすというのが、予防法らしい。
そしてエラーが出ても焦らずにエンジンON・OFFを何回かやるか、数時間待ってると、勝手にエラーが消えて何事も無かったかのように元に戻る。
という手懐け方法を心得たので、全然ビビらなくなって今に至る。
プーリーからキ~という異音がしたので交換してもらったら、何故かポンプとかオルターネーターまで壊れて、一気に交換という憂き目にも遭った。
阪神高速19号池田線で、異常運転のスポーツカーにぶつけられ、パンクしたこともあった。
翌日のツーリング会を楽しみにしていたのに…
最近はタイヤから釘が生えてきた… いや、刺さったこともあったし。
そんな僕のDS3。
今年で製造から10年、走行距離も9万キロ目前。
いろいろあったけど、よく走った。
故障じゃないけど、経年劣化は避けられない。
特にゴム・樹脂パーツは確実に硬化して、色んな可動部分を鈍くする。
近頃何だか乗り心地が悪い。
路面の少しの凹凸でもドスン!ドスン!となるし、とにかく揺れるし、リアからときおり「ギィィィ」と音がする。
それがもう気になって。
これからさらに10年、20万キロまで乗るつもりでいるので、足回りを総リフレッシュすることにした。
ショップは、彦根にあるプロヴァンスガラージュさん。
フランス車の専門的な部分に強いピットだ。
一気にやるぞ!
結構なお見積もり金額になったけど、この金額で新車同様に戻るなら安いものだ。
と、言い聞かせる。
DSという名前のシトロエンに乗ること…
先進的で前衛的なシトロエンの文化に触れること…
「シトロエンに乗る」ということは、他の凡百な車に乗ることとは、少し違う。
そう思わせてくれるのが、シトロエンというメーカーの魅力。
何が違うのかうまく説明できないけど、乗っている人ならみんなそう思うはず。
1週間の代車は、先代のC3。
DS3とシャシーなどを共用する兄弟車だ。
これがDS3と全く違う性格で、すごく良かった。
まず頭上まであるフロントのゼニスウインドウの開放感がもの凄い。
これだけで精神的な自由さみたいなものが一気に上がる。
そしてゆるふわ系のサスセッティング。
ハイドロでもないのに、ハイドロっぽい謎の動きをする。
飛ばしたり、ましてや競争するような気にならない、牧歌的な車というか。
高速での安定性も抜群で、ずっと乗っていたかったけど、AL4の4速オートマだけが残念で、そのせいで燃費悪い子だった。
そして、リフレッシュ工事が完了した。
取り外されたショックたち。
途中で引っかかるなど、動きが悪くなっていたみたい。
ロワアームのブッシュも硬化していた。
エンジンマウントも硬化して、ほとんど動かなくなっていた。
釘が刺さって応急処置をしたタイヤを処分し、新たにGOODYEAR EAGLE LS EXEを履かせた。
僕のカーライフは最初のデミオとスカイラインクーペでGOODYEAR EAGLE2000 hybridを履かせたので、何となくGOODYEARタイヤに縁がある気がする。コストパフォーマンスが良いのだ。
EAGLE LS EXEをチョイスしたのは、サイドウォールが柔らかめであること。
扁平45という厳しい条件で、できるだけコンフォートに寄せるため。
ちなみにこの前に付けていたタイヤはDUNLOPのLE MANS Vだった。静粛性第一でのチョイスだったので、そこは良かったけど、ちょっと硬かったかな。
住友ゴム的にはGOODYEARと同じメーカーだけども。
リフレッシュしたサスでは、後期DS3のショックを取り寄せてもらった。
DS3は後期型がソフトな乗り味となっているので、ソフト味を狙うなら後期の純正が良いのではとの考えから。
多分ディーラーではやってくれないチョイス。
ビルシュタイン、モンロー、サックスなどの社外ショックもあるけど、迷わず後期型純正を選択。
乗ってみたら、まるで別の車!
新車以上の状態となった、10年目のシトロエンDS3の乗り味は、絶品だった。
シトロエン的にはやや硬めの乗り味だけど、そこはDS3という車のキャラクターなので。
それでも、細かい凹凸のたびに「ズドン!」「ガタン!」といってた部分が、全てなくなった。
快適そのもの。
そして素敵なドライバビリティが、完全に復活した。
とにかく楽しい。どこまででも走りたい。
ついでに交換してもらったミッションオイルと添加剤もナイスで、やや渋くなっていたシフトフィーリングが軽やかに復活。
GOODYEAR EAGLE LS EXEも良い感じ。静粛性も高いし、ハンドリングだって自然だ。
これでまた、楽しく10年乗れる気がする。
DS3さん、これからもよろしく。そして安全運転で。