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革ジャン男が、カメラを駆使して餃子屋でナンパ成功する話

先日の話。
餃子の街・宇都宮にある人気店の行列に並んでいた時のこと。

真っ赤なアルファロメオ155が走ってきて、マフラーからボボボボと快音を響かせて駐車場に停まった。
ドアが開き、黒い革ジャンを着たヒゲの男が降りてきて、自分の後ろに並んだ。その男は、大きなレンズを付けた一眼レフカメラを肩から下げていた。

餃子店に行くのに、その一眼レフカメラ、いる? その望遠レンズ、いる?
謎であったが、その革ジャン男には必要なのだろう。

しばらくして、若い女子二人組が列に新たに加わった。
女子二人組は人気の餃子専門店を前にテンションが上り、キャッキャ言いながらスマホで写真を撮りあってる。

すると、革ジャン男が女子二人組に突然声をかけた。

「写真、撮ってあげようか?」

女子二人組は「わぁ~~ありがとうございま~す!」と喜んで男にスマホを渡し、写真を撮ってもらっていた。
そして、巨大な一眼レフカメラを見てこう言った。

「そのカメラ、凄いですね~!」

革ジャン男のおしゃれメガネがキラリと光った。
革ジャン男のターンが始まった。

「僕ね、写真を撮ってるんだ。」
「今日は、中禅寺湖を撮ったんだよ。」

と言い、一眼レフの液晶で自分の写真を女子二人組に見せ始めた。

「すご~い!キレ~イ!」

女子二人組に褒められた革ジャン男は、どんどん上機嫌になった。

「このカメラで、撮ってあげようか?」
「え~~っ、ホントですか~~!?」

パシャッ、パシャッ、パシャッ。

ニコンだかキヤノンだかの高級機種の小気味良いシャッター音が、餃子屋の前に響く。
餃子屋の前で、何やってんだ。

女子二人組は、自分たちがグラビアアイドルになったような気分なのか、嬉しそうに様々なポーズを試している。

「ちょっと待ってて」

そう言って革ジャン男は車に戻り、何かを脇に抱えて戻ってきた。
マック・ブックだ。

男はマック・ブックを開くと、さっき撮ったばかりの女子二人組の写真を画面に映した。

「ほら、どうだい?」
「え~~っ、スゴ~~い!」

自慢したい革ジャン男と、語彙力の乏しい女子二人組の、良い感じのケミストリー。

「写真は、エア・ドロップを使えば、君たちのスマホにも送れるんだ。」
「スゴ~~い!」

革ジャン男は、自分が撮った写真を次々と見せ始めた。
山とか木がいっぱいある所に、モヤモヤとした湯気が立ち上っている写真を見せている。

「え~~っ、キレ~~い!スゴ~~い!」

女子二人組に褒められた革ジャン男の機嫌が最高になったところで、こう言った。

「どこ、住んでんの?」
「私たち、牛久なんです~」
「えっマジで!? 俺も牛久だよ! 一緒じゃん!」
「ええ~っ、ヤバ~~い! 私、○○交差点のところのガススタでバイトしてるんです~」
「マジで!? あそこ使うんだよ! 今度行ってみるわ!」

図らずしもご近所さんだった革ジャン男と女子二人が完全に意気投合したところで席が空き、店内に呼びこまれた。
なんとこの3人、仲よく同じテーブルに座った。

革ジャン男はマック・ブックと望遠レンズが付いた高級一眼レフを餃子屋のテーブルに置きながら、焼き餃子を食べていた。
そもそも餃子屋の店内で何を撮るつもりだったのか不明だが、革ジャン男は餃子を撮らず、女子二人のハートを撮ったのである。

店を出た男は、真っ赤なアルファロメオ155の後部座席に女子二人を乗せて、再び快音を響かせて走り去っていった。
牛久まで送ったのだろう。

革ジャン男、良かったね。