会社バレは是か非か

音楽活動、DJでもバンドでも良いのですが、プロではなく、会社に勤めながら夜や週末はDJやバンド活動…という人は多くいる。サラリーマン音楽家。
自分も気がつけば、サラリーマン歴16年。それは、サラリーマン音楽活動歴16年ということになる。

そして、多くのサラリーマンDJやサラリーマンバンドマン達が直面することは、「会社バレ」との付き合い方だ。

会社バレとはその名の通り、会社の同僚や上司達に、自分の音楽活動がバレること。そこから自分のブログやTwitterアカウントやFacebookアカウントがバレること、である。

「会社バレ? 全然オッケーなんだけど! 会社の人にもライブに来てほしいね!」
という人もいれば、
「会社バレ? めんどくせえよ! 絶対嫌だよ!」
という人もいる。

どちらが幸せかと言えば間違いなく前者だろう。音楽で会社のみんなと盛り上がろうじゃないか、それって素敵じゃないか、ということだ。

しかし、自分のやっている音楽が、共感を持って気持よく受け入れられるとは限らない。

たくさん説明しないと分かってもらえないが、たくさん説明すると余計に分かってもらえない。
だからと言って説明しないと、「DJ=キュッキュキュッキュする人」のように、分かりやすく誤解される。

音楽とは100万光年くらい遠い所にいるような声のでかい体育会系の社員だと、さも珍獣を発見したような顔をして、大声で「こいつDJやってるんだって!」と周囲に言いまくる…こともあるだろう。「おい、今ここでDJやってみろよ!」と会社の喫煙所などで言ってくることもあろう。
そういう社員のDJに対するパブリックイメージは、90年代初期のBボーイファッションで「Yo!Yo!」と言ってそうなものだから、会社でのイメージとの違いから、珍獣を発見したような顔をするのだ。

バンドだって同じだろう。色んなバンドがある。中にはヴィジュアル系のようにメイクするようなバンドもあろうし、白塗りだったり何らかの世界観のあるようなアバンギャルドなバンドだってあろう。

いくら説明しても伝わらない、面倒くさい… 珍獣扱いされるだけだ… 退社しにくくなったり、会社で仕事しづらくなるだけだ… と悟った時、サラリーマン音楽家達は会社に対して心を閉ざす。

心を閉ざした人間が次にやることは、SNSを閉ざすことだ。
Twitterには絶対本名を出さない、アカウントを人に伝えない、「やってる?」と聞かれてもやってないと答える。(でもライブ告知をRTしてほしいから鍵はかけない)
Facebookは「友達まで」の公開にし、会社の人は友達に加えない。「やってる?」と聞かれてもやってないと答える。本名制だから、本名の一部を変えるなど。

そうやって、「DJやライブの情報はより多くの人に伝えたいが、会社の人からは見つかりたくないためにカモフラージュする」、という奇妙な構造が出来上がる。

16年間サラリーマン音楽家をしているが、会社に対してオープンでありたいという思いはあるものの、結局難しい。自分の音楽には呪いがかかっているのだろう。

だが、会社に対して隠してやってるようなDJや音楽活動の方が、面白いものが多い気がする。
サラリーマン音楽家は、会社に自分の活動をどんどん隠そうぜ、と思う自分である。