最果ての島にある、2つの絶品麻婆豆腐

利尻島ってウニと昆布以外に何があるの?

「夢の浮島」とも言われる、最北の離島「利尻島」
その雄大な自然風景と、澄んだ海から採れる豊富な昆布、そして極上のウニは、多くの人を惹き付けてやまない。

日本最高の昆布と、日本最高のウニ。
それはもう世界最高を意味する。

そんな利尻島に、かなりイカす麻婆豆腐を出す店が2つもあることを伝えたい。

日本百名山の1つめ、利尻富士。
多くのアルピニストを魅了する名山だ。
そんな利尻島に、本格四川の麻婆豆腐
その2つがコネクトするなんて、誰が想像しただろうか。

私が知る限り、日本最北の四川麻婆豆腐は利尻島にあり、利尻島の2つの行政区域「利尻富士町」と「利尻町」それぞれにある。
だから何だと言われればそれまでだが、もしあなたが辛いもの好きで、利尻島に行くのなら、是非とも麻婆豆腐を食べてみてほしい。

利尻富士町の名店「笑う門」で笑え!

利尻島の玄関口「鴛泊フェリーターミナル」のある利尻富士町は、利尻島の東側にある町。
飲食店がたくさんあるような街ではないが、ところがどっこい、どのお店も個性ビンビンなのである。

そんな利尻富士町で本格中華料理を提供するただ一つのお店がこちら、「笑う門」

鴛泊フェリーターミナルから徒歩5分くらい。
およそ中華料理店とは思えない外観と店名に、誰もが「ここで合ってるの?」と思うだろう。
この引き戸は、開けて良いのか?と。

今年(2023年)の夏に訪問した時は外の看板が取れており、やっているのかいないのか、もはや店なのか普通の家なのかどうかも分からなくなっていた。

初見でここに入るのは間違い無く敷居が高い。

入店して数少ない席に座ってメニューを見ると、中国語併記でズラリと並ぶ様子に圧倒される。
ただものではない店に来たな、と思うはずだ。

麻婆豆腐は、「麻婆豆腐」「陳麻婆豆腐」の2種類がラインナップ。
陳が付いている方が激辛という設定だ。

ちなみにこの陳は陳建一さんの陳ではなく、19世紀に中国四川省で麻婆豆腐を発明した陳劉氏さんのこと。
1970年代に日本に入ってきて日本人の舌に合わせてマイルドになった麻婆豆腐と区別すべく、「本場の味ですよ」という意味で付けられていることが多い。

もちろん陳麻婆豆腐をオーダー!

いつもワンオペの店主だが、猛烈に手際よく調理する様子を見ていると、プロってすげぇと思ってしまう。
笑う門はカウンター席に座ると厨房が目の前なので、調理の様子が見れて楽しいのだ。

土鍋で提供される「陳麻婆豆腐」

アツアツで煮えたぎる、極上の麻婆豆腐である。

豆板醤・甜麺醤がビシッと効いた強いボディに、唐辛子の辛さ、花椒の痺れが容赦なく混ざる。
挽肉は噛めば噛むほど肉汁が染み出す。そこに木綿豆腐が絡んでくる。

こんなストロングな麻婆豆腐だから、そのまま食べても良いけど、オンザライスで食べると抜群だ。

いつの間にか、ここ、離島でしょ? 最北の離島だよね? ってことを、すっかり忘れてしまう。
笑う門は他のメニューも美味しくて、こんなお店は普通に近所に欲しい。東京にあったら行列確定だろう。

ちなみに看板が取れたのは吹雪で吹っ飛んだから、らしい。
ということで、今は本当にどこが笑う門なのか分からなくなってるから、隣の「スナック おしん」の小さな看板を目印に行ってみてほしい。

笑う門の地図

利尻町の名店「勿忘草」を忘れるな!

利尻島の西側にあるのが「利尻町」。利尻町にある街「沓形」は数多くの飲食店がある。
中でも「らーめん味楽」は、日本一行きづらいラーメン店として有名だ。

そんな利尻町にある「勿忘草」(わすれなぐさ)は、ラーメンを中心とした町中華という感じのお店。

北の離島にある食堂って感じの外観で、まさかここに激辛の麻婆豆腐があるとは想像できない。

ラーメンを中心としたメニュー構成。とんかつ定食や生姜焼き定食、かつ丼などもある。

注目はラーメンの中にある「ラーユタンメン」

これが勿忘草オリジナルの看板メニューだ。
まずはラーユタンメンをオーダーしてみよう。

これが勿忘草の「ラーユタンメン」

真っ赤なスープがいかにも辛そうだが、実際めちゃ辛い。
その名の通り、ラー油をベースに作られたスープなのだ。

真っ赤なラー油スープが猛烈に絡む黄色い中太麺。
上には豚バラ肉、ワカメ、ネギがトッピングされている。
辛さは5辛まで選べて、3辛からは+100円。
3辛オーダーしたところ、ガッツリ辛い
たぶん利尻島でこれより辛い食べ物は無い。もっと辛くできるのが恐ろしい。スコビル値高い。
それでも辛さの中にほんのり甘さがあって、それが不思議な食欲をそそる。美味しい。パンチあるなあ。

ワカメはさすが利尻島という抜群のクオリティだ。

辛さは調整できるが、結構辛いのをオーダーしてしまい、汗だくである。

そしてメニューの裏側…

一品料理が並んでいるが、その中に「麻婆豆腐」があることを見逃さない。

アルピニストが山を登るのは「そこに山があるから」。
それと同様に、麻婆ドーファーが麻婆豆腐を食べるのは「そこに麻婆豆腐があるから」である。

ということで麻婆豆腐をオーダー!

来たぁ! 勿忘草の麻婆豆腐!

豆腐は絹、挽肉は豚肉、トッピングされてるのはネギでも葉ニンニクでもなく、ニラ!
ニラトッピングの麻婆豆腐は珍しい!

唐辛子と花椒が大量に使われていることが分かるように、一口食べるだけでその辛さが伝わってくる。

ビシィッッとキレのよい、シャープな辛さがたまらない!
ニラと絹ごし豆腐の相性も抜群で、どんどんスプーンが進む。
気がつけば汗だくになり、爽やかな食感を楽しんでいる自分がいる。

2つの最高麻婆 in 利尻島

こんな感じで、利尻島には2つの素晴らしい麻婆豆腐があることをお伝えしておきたい。

これを読んでいるあなたがもし、利尻島に行くようなことがあったら、「あ、麻婆豆腐の美味しい店があるらしいよ?」と、この記事を思い出して欲しい。

日本最北の激辛麻婆豆腐がある島、利尻島!