滋賀は京都から遠いのか?近いのか?

どういうわけか、「京都から遠い」と思われ続ける滋賀




民の声「滋賀って、京都からは遠いでしょ?」




これは、滋賀の県庁所在地の駅「大津駅」の勇姿だ。

滋賀県大津市で育ち、20年ぶりに大津市にUターンして1年。今、大津市は生活の拠点であり、仕事の拠点でもある。

そんな大津民は、都会に行きたくなったら迷わず京都に行く。
なんせ隣接しているのが京都市なので、大津駅から京都駅に行くのはあっという間。
県庁所在地同士の隣接は、全国的にも珍しいくらいだ。
京都に出れば新幹線にだって乗れるし、ポルタもあるし、ヨドバシカメラもあるし、居酒屋だって星の数ほどある。

なのにこれまで

「えっ、滋賀って京都からそんなに近かったの?」
「そんなにすぐに京都に行けるの?」

と、多くの人から言われてきた。

それどころか京都の住人からも、

「滋賀って遠いやん?」
「滋賀はよう分からへんわ」
「滋賀なんか行ったことあらへんわ」

と言われてきたのだ。なんでや!

滋賀という県がジミ県、言い換えればジミ・県ドリックスであることは認める。認めざるを得ない。
その証拠として、当社調査では84.7%の日本国民が

・滋賀県はどこにあるのか分からない
・滋賀県には何があるか分からない
・滋賀県の名物も分からない。
・琵琶湖?
・TMレボリューションも滋賀だっけ?
・滋賀って何て読むの?ゲジゲジ?

といった認識で滋賀県を捉えている。
そんな彼らは琵琶湖固有種のビワコオオナマズとウーパールーパーの違いだってたぶん分からない。

過去には、大阪生まれ大阪育ち、大阪在住の四大卒でDJをしている知り合いにこう言われたことだってある。

「滋賀って、名古屋?」

おいおい。滋賀は県だし、名古屋は市だろう。
愛知県でもなく、名古屋市の中に滋賀県があるとでも言うのか? 逆だろう。
そもそもお前は関西圏に住んでいて何だそれは。学校出たのかよ?

このようなボンヤリ滋賀認識は他にも枚挙に暇が無い。
そりゃ、知らない場所は遠いと感じるのも無理はない。

しかし本当に滋賀は京都から遠いのか?
そろそろ決着をつけてみたい。

地図で見る滋賀と京都

Googleマップで示してみたが、赤字で「大津市」と書かれ赤線で囲まれているエリアが、滋賀県の県庁所在地である大津市の場所だ。そしてその西側に隣接しているのが京都市である。

縦に長い大津市の北の方や南の方だとともかく、JRや国道、名神高速などの動脈が東西に走っているあたりは天下の東海道。関所のある宿場町として栄えてきたくらいなので、交通至便は抜群なのである。

鉄道の路線だとこんな感じだ。

琵琶湖線(東海道本線)の草津駅から京都駅までの並びを見ると一目瞭然、大津駅と京都駅はたった2駅しか離れていない。
これは3駅離れている山手線の巣鴨~西日暮里の間よりも心理的には近いはずだ。

「ひこにゃん」=滋賀県なのか

そもそも「大津市」がどこにあるのか、関西圏外の人にはあまり知られていないように思う。
「大津に住んでます」と言ってもポカーンとされることが本当に多い。

そして滋賀の話をした時、これまで何度「あっ、ひこにゃんの!」と言われたことか。

ひこにゃんの名前が出るたびに、「それは彦根なんですよ。琵琶湖を挟んで正反対で、正直、年に数回行くか行かないかの所で…」と毎回言ってきた。

相手のご期待に添えず、申し訳ない気持ちになる。
「そう、ひこにゃんの所です!」と言いたいが、ここは彦根市ではなく大津市なのだ。
全国数少ないゆるキャラ成功例であるひこにゃんのブランド力の強さを思い知る。

ちなみに大津市のゆるキャラはこの子だ。

「おおつ光ルくん」

もう10年以上、大津市のゆるキャラとして観光PRをしている。知ってるか?
石山寺で紫式部が書いた「光源氏」の「光」が元ネタである。覚えておいてほしい。

話がそれたが、ひこにゃんと彦根城のパワーが強すぎるのだ。
そんな彦根はどこにあるかというと、

琵琶湖の東側の、ちょっと緯度が高めのところ。

ここから京都へは流石に遠い。

つまり、

滋賀=ひこにゃん=彦根=京都から遠い

ということになり、実際に国宝の彦根城を見に行った人も多いことから、「滋賀=京都から遠い」という思い込みの理由が説明できる。これはもう仕方がない。彦根城を大津駅前に移築でもしない限り難しい。

京都民が滋賀を遠いと言う理由とは

もう一つの「京都と滋賀は遠い」説は、なんと京都に住んでいる人が言う。これがまた厄介なのだ。

再度書くが、京都市の隣りは滋賀県大津市であり、JR琵琶湖線だと京都駅から2駅で大津駅である。距離など取るに足らない。

自分が京都に実際4年弱住んでみて思ったのは、「滋賀って遠いなぁ」であった。
自分で思っとるやんけ!

その理由は以下だ。

京都の街中で全ての用事が片付くため、滋賀に行く必要性がない

京都市内、特に洛内に住んだ人なら誰もが感じる京都の魅力。
それは、

・平安京の時代からビシィっと整備された碁盤目の道路の分かりやすさ
・坂が少なくどこに行くにもチャリでOK
・デパートなどの大型店から路地裏の怪しいバーまである多様性
・古い町屋、寺社仏閣の風情

といったところだろうか。

街の機能がギュッと凝縮されたコンパクトシティ、京都に住む者が感じるの京都の魅力だと思う。
全てがチャリで行ける範囲で事足りるヘイアン・シティ。
そんな所にいると、滋賀に行く理由なんて「琵琶湖を見に行く」以外に何があるというのだ。

余談だが、

JR東海の「そうだ 京都、行こう」のポスターに比叡山の「延暦寺」が載ってて、それを見た人は「あら、京都の素敵なお寺」と思うわけだが、延暦寺は滋賀だ馬鹿野郎!

意外と面倒くさい京都の鉄道事情

これ、結構あるんじゃないかなと思っている。

(出展 京都府観光連盟)

京都を走る鉄道といえば、主に「JR」「新幹線」「阪急」「京阪」「近鉄」「地下鉄烏丸線」「地下鉄東西線」「嵐電」となる。
このうち、滋賀に行くには東西を東海道線として貫いているJR琵琶湖線を使うのが普通だ。
(地下鉄東西線+京阪京津線でも行けるけど、あまり一般的ではない)

これらの鉄道の全てが、滋賀に行くためのJR駅である京都駅にコネクトしているかというと、そうではない。

特にこのメジャーな2つ、阪急京阪

阪急の京都線はJRとは接続せずにひたすら我が道を往き、四条河原町にある河原町駅を終点とする。
阪急沿線から京都市内でJRに乗り換えるには、烏丸駅で地下鉄烏丸線に乗り換えて、京都駅で降りるという一手間が必要だ。
だから阪急沿線の者からすれば滋賀県は遠い存在である。

京阪も微妙にJRとコネクトしない。京都駅からJR奈良線で1駅行った東福寺駅でJRと接続するけど、滋賀に行くためにJR奈良線に乗るなんてまわりくどい。七条駅からは京都駅まで歩けるが、10分ほどかかる。
京阪本線は川端通りを上り、三条から出町柳、そのまま終点だ。
京阪沿線の者からも滋賀は微妙に遠い。まだ滋賀県内に京阪が走ってるだけ、気分的には阪急よりマシだ。

そんな状況なので、京都の木屋町で飲んだ後にどうやって滋賀に帰るか? 四条大宮から西院から出町柳から、どうやって滋賀に行くか?…と考えたらが面倒くさい乗り換えが頭によぎり、「滋賀って遠いな」となる。

ぜんぶ路線のせいだ!

結論。滋賀は京都から近いのか、遠いのか

まず、問いかけが大きすぎる。
滋賀と言っても、大津市も滋賀だし、彦根市も長浜市も滋賀なのだ。
大津や草津のように京都から近いエリアもあれば、彦根や長浜のように遠いエリアもある。

なので、滋賀のどこか?を確認することが重要だ。
大津や草津だったら「京都の近くだ」と思ってよい。大津、草津は滋賀のどの辺かを知ってもらいたい。
群馬県の草津では無いんだぞと。

京都民(特に阪急沿線)が「滋賀は遠い」と言うのは、もう知らん。

こんなことを書こうと思ったのは、遠方からの友達が

「京都に行って飲んでたよ!」
と言うようなことが多くて、

「えっ、すぐ近くに住んでるのに誘ってよ!」
と言っても

「えっ、滋賀って京都から近かったの? めっちゃ遠いと思って誘わなかった」
と言われることが何度もあったからである。

誘ってよ!

(別の理由で誘われなかった可能性もあるが)

というわけで、大津市は京都市の隣りであり、近いです!

と言いたいだけである。